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自分を曲げないこと    05/01/2007
彼の兄は偉大な競走馬だった。

兄は3歳牡馬クラシックの最終戦で勝利こそ掴めなかったもののクラシック2冠馬よりも先着し同年の祭典でも3歳ながら2着と健闘した。そして同世代4強の1角を担う存在となった。

いつG1馬の称号を得てもおかしくない馬だった。今でもそう感じる。

決して切れ味のある脚がある馬ではなかった。他を寄せ付けないスピードがあるわけでもなかった。勝つことはあっても地味なレースだった。決して華などなかった。

だが私は想う。他の馬がどう動こうと兄の競馬が変わることはなかった。それは強いということだと。自分自身を曲げず、干渉されず、信ずる道を行く。こんな簡単なことがどれほど難しいことか。

彼の兄は結局、時代の頂点のレースで輝くことはなかった。
人は云う「時代が悪かった」と。

秋の牡馬G1を3冠した馬がいた。日本に衝撃を与えた馬がいた。天候が向かなかったことあった。

だが、自分自身のスタイルを変えない巧みで地味なレース運びをしていた。彼の兄の残した堂々と戦った軌跡は私たちファンの胸に刻まれた。中途半端なG1馬よりも兄は輝いていたといっても過言ではない。

そして、今年。彼はG1の舞台へ進んだ。兄と同じように。

兄の悲願を叶えるため。自身を輝かせるために。

G1という舞台で勝つには並大抵の力では通用しない。今年の相手も切れ味抜群の脚を持つ馬が歩を進めていた。彼は他馬のような持ち味は決して無かった。だが彼には特有のリズムがあった。固有のスタイルを持っていた兄のように。

レースは2コーナーで彼が先頭に立った。無理にハナに立ったわけではない。彼のリズムがそうさせたのだ。そして、直線で後ろから切れ味自慢の馬達が猛追してきた。だが彼はリズムは最後まで変わることがなく差される事はなかった。

兄によく似た自分を曲げない走りだった。

「おめでとう」

彼に対してそう言った。彼の兄にもその言葉をかけてあげたかったけど、それはでもうきない。だから君を応援すると決めた。彼が兄のように自分を曲げない限り。
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